職場での女性差別問題、「三人っ子政策」で悪化の恐れ 中国

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専門家からは、出生率の低下と労働人口の減少を反転させるためには「三人っ子政策」は規模が小さすぎ、時期も遅すぎたとの見方が出ている/Qilai Shen/Bloomberg/Getty Images

専門家からは、出生率の低下と労働人口の減少を反転させるためには「三人っ子政策」は規模が小さすぎ、時期も遅すぎたとの見方が出ている/Qilai Shen/Bloomberg/Getty Images

(CNN) ジャニス・チャンさん(33)は、今年3月に職探しをしている時、面接で毎回聞かれたのが「あたなは結婚しているか」という質問だった。

中国・成都の企業の人事課に勤めるチャンさんは、採用する企業側の懸念をよく理解している。チャンさんはそれまで女性の求職者に対し、間もなく妊娠するか、子どもは何人産むつもりか、産休はどのくらい取るか、出産後は退職するか、といった質問をする立場だった。

「すでに30代の自分は、企業からいつ結婚し、妊娠するか分からない当てにならない存在と見られている」とチャンさんは言う。

国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)は、最近発表した報告書の中で、近年、チャンさんのように、結婚歴や子どもの有無に基づく仕事上の差別を受けていると訴える女性が多いとし、その原因として中国の労働力の男女格差、男女差別を禁止する法律の不十分な執行、「二人っ子政策」の影響を挙げている。

そして、中国政府が、夫婦が3人目の子どもを持つことを認めた今、一部の中国人女性は差別が今後さらに悪化するのではと懸念している。

産児制限の緩和が女性差別を助長

中国では、何十年もの間、大半の夫婦が子どもを1人しか持つことが許されず、「一人っ子政策」に違反すると重い罰金か強制中絶の罰が科された。

この規則は、中国の膨大な人口(現在約14億人)の成長抑制に役立ったが、一方で迫りくる人口動態上の危機の要因のひとつにもなっている。労働力の減少と人口の高齢化という2つの問題を抱える中国政府は、2016年に一人っ子政策を廃止し、夫婦1組当たり2人の子どもをもうけることを容認し始めた。

しかし、これが相次ぐ、ジェンダーや女性の妊娠に基づく差別につながったとHRWは指摘している。

HRWの報告書によると、多くの中国企業や雇用主は、女性従業員の産休にかかる費用の負担に消極的だという。そのため子どものいない女性は、将来2回出産し、それに伴い産休を2度取得する恐れがあるため、企業から「時限爆弾」とみなされることが多い。

また研究者らによると、子どもが1人しかいない女性も2人目を産む可能性があるため「お荷物」とみなされ、すでに子どもが2人いる女性も育児で忙しすぎて効率的に働けないと見られる場合があるという。

中国政府は5月31日に「三人っ子政策」を発表した後、「雇用における女性の法的権利と利益を守る」と述べたが、この公約は内容があまりにも曖昧(あいまい)な上に、政府が過去に行った同様の公約も問題の大幅な改善につながらなかったとの批判がある。

ジェンダー不平等の拡大

近年、中国のジェンダー不平等は悪化している、とブリティッシュコロンビア大学の社会学准教授ユエ・チェン氏は指摘する。

チェン氏によると、この問題の一端は中国の好景気にあり、好景気が過酷な労働文化や「異常な長時間労働」を生んでいるという。

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