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石油高騰に直面のバイデン氏、トランプ氏のOPEC戦略が必要?

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OPECが増産で合意せず石油高騰が続く現状はバイデン政権にとって憂慮すべき事態だ/Andrew Kelly/Reuters/Alamy Stock Photo

OPECが増産で合意せず石油高騰が続く現状はバイデン政権にとって憂慮すべき事態だ/Andrew Kelly/Reuters/Alamy Stock Photo

ニューヨーク(CNN Business) 米国民はガソリン価格の高騰を嫌う。そして公平かどうかはともかく、高騰を現職大統領のせいにする傾向がある。

このため、石油輸出国機構(OPEC)とロシアなどの産油国でつくる「OPECプラス」が5日の協議で供給増に向けた合意に至らなかったことは、バイデン大統領にとって大きな問題となる。

石油・ガソリン価格はすでに7年来の高値にあり、OPECプラスの足並みがそろうまでさらに上がるだろう。

米コンサルティング会社ラピダン・エネルギーのロバート・マクナリー社長は「彼らが増産を行わなければ、原油やガソリン小売価格はひどく上昇する」との見方を示す。

石油価格の高騰を望む大統領などいないが、今回は特にタイミングが悪い。ちょうど個人消費が新型コロナ禍からの景気回復をけん引するまさにその時に、石油高騰がインフレ懸念を増幅させ、米国民の懐を直撃する可能性があるためだ。

米原油価格は6日に一時1バレル=76.98ドルを付け、2014年11月以来の水準に達した後、73.50ドル付近に戻った。全米自動車協会(AAA)によれば、原油に遅れて動くガソリン価格も1ガロン=3.13ドルに上昇。これはコロナ禍が猛威を振るっていた1年前の2.18ドルを大幅に上回る。

「後手後手の対応」

バイデン政権内で警報が鳴っているのは間違いない。

報道官の1人は5日、CNNに対し、政権はOPECプラスの交渉を注視しており、複数の当局者が増産に道を開く「妥協的解決」を呼び掛けていると述べた。

トランプ前大統領とは全く対照的に、バイデン政権はこれまでOPECに干渉しない姿勢を取ってきた。トランプ氏は周知のように金融市場の動向を執ように監視し、供給が不十分だとしてOPECを再三批判していた。

アナリストの間では、バイデン政権は「OPEC劇場」に不意を突かれたとの見方もある。

RBCキャピタルマーケッツの世界コモディティー戦略トップ、ヘリマ・クロフト氏は「彼らは後手に回っている」と指摘。「バイデン政権の早期警戒システムはトランプ政権に及ばなかった。今回のOPEC会合が重要になる可能性に気付いていなかったのかもしれない」と語る。

トランプ氏は対OPEC姿勢を180度転換

ただ、大げさな対応が目立ったトランプ氏とバイデン氏のスタイルの違いを踏まえると、OPECを脅迫する全文大文字のツイートが投稿されることはないだろう。

「彼らは『ツイッター外交』は行っていない」。中央情報局(CIA)のアナリストを務めたこともあるクロフト氏はそう指摘する。「電話で交渉する従来型の戦略だ」

トランプ氏の介入主義的なアプローチは、20年4月に石油価格が史上初めてゼロを割り込んだ時も続いた。石油暴落が主要な共和党支持州の雇用を脅かしていることに気付くと、トランプ氏は石油安を求める従来の姿勢を180度転換させ、OPECに減産を促すことに成功した。

現在のエネルギー市場の状況はまったく異なる。コロナ禍の初期に崩壊したエネルギー需要は、米国民が航空機や自動車の利用を再開するにつれて急増している。

だが、供給が追いついていない。OPECプラスは昨年に引き続き生産を抑制しており、5月の供給量は日量2550万バレルと、19年の平均2930万バレルを大幅に下回った。

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