アフガン通貨、過去最安値圏に下落 ドル不足に懸念
ニューヨーク(CNN Business) アフガニスタンのイスラム主義勢力タリバーンが実権を掌握するなか、同国の通貨アフガニが過去最安値圏に落ち込んでいる。ドル不足がパニックを引き起こし、金融情報会社リフィニティブによると、18日には1週間前の1ドル=80アフガニから大幅下落となる1ドル=86アフガニを付けた。
アフガニの下落は、首都カブール陥落後のアフガンの将来への懸念を映す。首都を掌握したタリバーンは米国などから制裁対象に指定されている。
アフガンの脆弱(ぜいじゃく)な経済は米国主導の国際援助に大きく依存するが、この頼みの綱の援助が危うい状況だ。世界銀行によると、アフガンでは公共支出の約75%が国際的な無償資金協力によってまかなわれている。
通貨の下落で物価上昇圧力も強まりそうだ。特に食料品や生活必需品が値上がりは、最貧困層に最も大きな打撃を与える。
米シンクタンク、ユーラシアグループのグローバル戦略担当ディレクターであるロバート・カーン氏は、現物ドルの不足に関する懸念が通貨下落の要因になっていると指摘する。アフガン経済は輸出より輸入が多いことから、金融制度の現物ドルへの依存度が高い。
金融情報会社インタッチ・キャピタル・マーケッツのシニア外為アナリストは「タリバーン政権にとっての主な課題は、輸入品支払いに充てる現物通貨へのアクセスを確保し、深刻な国際収支危機を防ぐことだ」と指摘する。
アフガン中央銀行のアフマディ総裁代行はツイッターで通貨安定策について詳しく説明していたものの、15日に国外逃亡した。