瀬戸際に立つ中国の企業帝国、恒大集団について知るべき5つのこと
専門家によると、ある意味では同社の積極姿勢が苦境を招いたとも言える。英誌エコノミスト調査部門の中国部門責任者、マティー・ベキンク氏は、同社が「中核事業から大きく逸脱したことが今回の混乱に至る一因になった」と話す。
ゴールドマン・サックスのアナリストらは、同社の構造も「(会社の)建て直しの状況をより正確に把握するのを難しく」させていると指摘。最近のメモで「恒大集団の複雑さや、資産と負債に関する十分な情報の不足」に言及した。
ただ、恒大集団の苦境は中国における根本的なリスクをも象徴している。
「恒大の話は、債務に関連する中国経済の深い、(そして)構造的な課題の話だ」とベキンク氏は語る。
これは全く新しい問題ではない。中国では昨年、複数の中国国営企業が融資を返済できなくなった。成長を支えるために債務中心の投資に依存する中国の現状に懸念の声が広がった。
中国政府が海外進出を目的に多額の借り入れをする企業の取り締まり乗り出すなか、18年には、富豪の王健林氏が自身の手がける大連万達集団の縮小を余儀なくされた。
英調査会社キャピタル・エコノミクスの主任アジアエコノミスト、マーク・ウィリアムズ氏は先週、恒大集団の破たんは「中国の金融システムがこの数年で直面する最大の試練になるだろう」と指摘した。
同氏はさらに「恒大集団の問題の根源は、中国の居住用不動産に対する需要が持続的な減少期に入ったことにある」「恒大集団の進行中の破たんで、不動産開発業者のデフォルトの波が中国の成長に及ぼす影響に注目が集まることになる」とも述べた。
恒大集団は今後どう進む?
恒大集団は14日、状況の評価の支援を得るため、ファイナンシャルアドバイザーを雇ったと公表した。
こうした外部のアドバイザーは「実行可能なすべての解決策」を探る役割を担うが、恒大集団は何も保証されているわけではないと警告する。
同社は出血を止めるために、電気自動車や不動産サービス事業の一部の買い手を探そうとしたが失敗した。
証券取引所への提出書類によると、投資家探しで「何も大きな進展はない」状況で、「こうした売却を実現できるかは不確実だ」としている。
恒大集団は15年に16億ドルで購入した香港の同社オフィスビルの売却も試みている。だが、売却が「予想するスケジュール内に完了していない」という。
投資家の反応は?
恒大集団の問題は先週、深センの道路上に出現した。ロイター通信によれば、同市の本社前に抗議する人々が数十人集まり、同社の代理人とされる人物に言葉を投げかける様子が見られた。