瀬戸際に立つ中国の企業帝国、恒大集団について知るべき5つのこと
だが、株主は数カ月前から警戒感を強めている。同社の株価は今年80%以上下落した。
欧州系格付け会社フィッチと米格付け会社ムーディーズは今月、資金の流動性の問題を理由に恒大集団の信用格付けを引き下げた。フィッチは最近の注釈で「ある種のデフォルトが起きる可能性があると見ている」と記述した。
今回の事態はより広範に中国の投資家を動揺させるものになるとみられる。こうした投資家はすでに、中国政府によるテック企業を中心とする民間企業への締め付けに揺らいでいる。香港株式市場のハンセン指数は20日、3.3%下落し、過去2カ月近くで最悪の下げとなった。中国の銀行や保険、不動産企業の株価が下落した。
ゴールドマン・サックスのアナリストは「我々の見解では、恒大集団の信用ストレスがどう解決されるかが市場心理を動かすだろう」と発言。信用市場やより広範な経済に言及し、中国の債券市場が打撃を受け、信用の喪失がより幅広い不動産業界に波及する可能性もあると付け加えた。
米ウォールストリートは海外まで影響が及ぶリスクについて、より楽観的に見ているようだ。
ムーディーズ・アナリティクスの主任エコノミスト、マーク・ザンディ氏は先週、CNN Businessに対し「恒大集団の破たんや、より広く言えば中国の不動産企業の財務問題が米国の経済や市場に跳ね返ってくるとは思わない」と発言した。
次に何が起きうる?
アナリストらは、もし恒大集団がデフォルトに陥ったら、中国政府がその余波を抑えるために介入すると見ている。当局が監視を強めているのは明らかだ。
中国国営メディアによれば、同国の国家統計局の付凌暉報道官は先週「いくつかの大きな不動産企業」の苦境を認識していると述べた。
付氏は恒大集団には直接言及しなかったが、中国の不動産市場は安定しているものの、業界全体の発展に関する最近の出来事の影響は「監視が必要だ」と発言した。
前述のキャピタル・エコノミクスのウィリアムズ氏は、もし大きなデフォルトのへの不安が強まれば、中国の中央銀行が流動性の支援で介入するだろうと予測する。
当局は既に行動を始めていると言われている。ブルームバーグ通信は14日に匿名の情報筋の話として、規制当局が恒大集団の財務状況の精査のために国際的な法律事務所の「金杜律師事務所」に協力を求めたと報じた。
この報道によれば、恒大集団の本拠地、広東省の当局者は恒大集団の設立者からの支援要請を断った。広東省、同社のいずれもコメントの要請に応じていない。
だが、恒大集団を救うにはもう遅すぎると指摘する声もある。
中国メディアは恒大集団の財務問題を「巨大なブラックホール」になぞらえて広く報道し、どんな量の資金もこの問題を解決できないと暗示してきた。
前述のベキンク氏は「究極的には、政府が恒大集団の件に介入すると予想する。同社のデフォルトが銀行システムへと波及するのを許さないためだ」との見方を示し、「恒大集団による大きなデフォルトの影響は特筆に値する」とも語った。