縮れた髪やカールした髪のカット、美容師免許の条件に追加へ 米ルイジアナ州
(CNN) 米ルイジアナ州美容師委員会はこのほど、全てのライセンス(免許)試験に、縮れた髪やカールした髪を含む「テクスチャードヘア」のカットに関する項目を含めることを義務付けることを決議した。これを受け、黒人の美容師や自然なヘアスタイルを支持する人たちからは、美容業界における平等への一歩だと評価する声が上がっている。
委員会は11月1日、全会一致でこれを可決した。この決定により、ルイジアナ州の美容学校に通う学生たちは全員、自然の状態で縮れた髪やカールした髪、ウェーブした髪を指すテクスチャードヘアのカットの訓練を積まなければならない。
ルイジアナ州の美容師には、黒人をより包括的に受け入れるとする今回の決定を何年も待ち望んでいた人がいる。黒人は、白人が経営する美容院で、黒人の髪質に対応できるスタッフがいないためにサービスを受けられないという不公平な扱いに直面してきた。
「全ての人にサービスを提供できなければ、完璧な美容師とは言えない」と語るのは、ルイジアナ州シュリーブポートで美容学校を経営するシャロン・ブラロックさん。ブラロックさんは「メキシコ人も、中国人も、黒人も、白人も、誰もが外見も気分も良くなりたいと思っている。髪質で選別せず、全員にサービスを提供できるようにすべきだ」と話す。
ブラロックさんは、1980年代に美容師免許を取得した。白人が経営する美容学校ではテクスチャードヘアのスタイリング方法を習わなかったため、別途特訓を受けなければならなかったと振り返る。
ルイジアナ州が免許の取得条件を変更した背景には、職場や学校において人種による髪型の差別をなくすための法律を制定する州が増えてきたことがある。この法律は、「Creating a Respectful and Open World for Natural Hair(地毛を尊重する開かれた世界を作る)」の頭文字を取り、「クラウン法」と呼ばれている。同法はカリフォルニア州で初めて制定され、現在では複数の州で導入されている。
黒人女性の間ではこの10年間、自然なヘアスタイルを好む傾向が強まっており、テクスチャードヘアを扱うことができる美容師の需要が高まっているという。
ルイジアナ州美容師委員会のエドウィン・ニール委員長は、CNNに対し、テクスチャードヘアのカットに関する項目が試験に盛り込まれるのは来年6月であるとして、学生が訓練を積む時間はあると述べた。ニール氏は、テクスチャードヘアに対する「意識」が高まっていることから、これを試験項目に追加することが決定したと説明した。
ニール氏によると、テクスチャードヘアのカットにはストレートヘアとは異なる技術が求められるため、美容学校に通う学生全員がその技術を学ぶ必要があるという。ニール氏は将来的にはテクスチャードヘアのスタイリングに関する項目も試験に追加されることを望んでいる。
ニール氏はここ数年、美容院から「あなたのような髪質には対応できない」と言われた人たちの話を聞いてきたという。ニール氏は「こうしたことは誰にとっても気分の良いものではないし、あってはならない」と訴えた。
委員会は免許の取得条件を変更するにあたり、自然派化粧品ブランド「アヴェダ」のテクスチャー部門でグローバルアーティスティックディレクターを務めるレニー・ガダー氏に助言を求めたという。
ガダー氏は、黒人女性はあまりにも長い間、美容業界から「権利を奪われ」、取り残されてきたと述べた。免許の取得条件が変わることで、美容学校で学ぶ全ての人種の学生がテクスチャードヘアについて学び、それにまつわるあらゆる偏見を克服せざるを得なくなるという。
ガダー氏には目標がある。他州にもテクスチャードヘアに関する項目を試験に追加するよう促し、これを全国基準にするというものだ。
ガダー氏は「これは極めて重大なことだ。美容学校の教育にテクスチャードヘアが含まれていないことを知らない人がいるという事実だけでも、多くの人にとっては衝撃的。だからこそニュースになるのだと思う」と述べた。
シュリーブポートで美容院を経営するエープリル・ボナーさんは、今回の決定をうれしく思っている。ボナーさんは、これを機に美容師たちがテクスチャードヘアに関する訓練をさらに積み、業界がより包括的になることを期待している。
ボナーさんは「私たち(黒人女性)がありのままの髪を受け入れるようになっても、美容師たちはそれに合わせて変わることはなかった。でも今は、誰もが自然な髪を受け入れ始めていると思う」と語った。