新機軸の「弾丸」飛行機、ビジネス航空業界に革命起こすか
ディーゼルエンジン
層流は飛行機の動力消費を減らす効果があるため、セレラ500Lは機体の後部にドイツのメーカーREDが設計したV型12気筒(V12)ディーゼルエンジンを1基搭載している。
「我々の見つけ出した最も効率性の高いエンジンであり、空気力学を応用した最も効率性の高い機体にはうってつけだった」(オットー氏)
近い将来、セレラ500LのCO2排出量をゼロにするために、ディーゼルエンジンの代わりに電気エンジンか水素エンジンを導入する可能性もあるが、オットー氏によると、現時点でもセレラ500Lの乗客1人当たりの炭素排出量は、競合機に比べ80%も少ないという。
セレラ500Lは2018年に初飛行に成功し、その後約50回の試験飛行を行った。現時点の最高速度は時速約400キロ、最高高度は5000メートル強にすぎないが、間もなくより強力なエンジンが搭載される予定で、実現すれば速度、高度ともに向上する。最高高度は1万2000メートル近くに達する見込みだ。
いずれ、セレラ500Lの機体に窓も追加される予定だ(現在、窓は一切付いていない)。オットー氏は、25年までの発売を見込んでいる。
大型モデルの開発計画も
セレラ500Lの機体の形状を見てもわかる通り、キャビンはピラタスPC―12やビーチクラフト・キングエアといった同等の飛行機よりも広々としている。
「キャビンは約188センチの高さがあるので歩いて搭乗できる。立った状態で利用可能な洗面所も備えており、中型ビジネス用ジェット機と同レベルの飛行機だ」(オットー氏)
しかし、セレラ500Lの型破りな外観は一部の客にとってネックになる可能性もある。
この点についてオットー氏は「(セレラ500Lは)ガルフストリーム製のプライベートジェットで移動している企業幹部らの興味は引かないかもしれないが、民間航空会社や空港のセキュリティーで長時間列に並ばされることに不満を感じている人は大勢いる」と語る。
発売当初は、500万ドル(約5億7000万円)近い価格で個人の客に販売されるが、地域ジェット機と競合可能な19人乗りと40人乗りの2つの大型モデルを開発する計画がある。オットー氏によると、現在、大手航空会社との商談が進んでいるという。