独、2年で経済損失30兆円の試算 ロシア産天然ガスの供給停止なら
ロンドン(CNN Business) ドイツの経済研究所は13日、ロシアからの天然ガスの供給が突然停止された場合、ドイツが深刻な景気後退に陥るとの見通しを示した。
ドイツの5つの経済研究所の報告書によると、供給が突然停止した場合、ドイツは今後2年間で2200億ユーロ(約30兆円)の経済損失を被るという。ドイツの国内総生産(GDP)は2022年に1.9%の成長にとどまり、23年にはマイナス2.2%に落ち込む。天然ガスの供給が継続すれば今年の成長率は2.7%が見込まれる。
報告書の著者の1人であるキール世界経済研究所のシュテファン・クーツ研究部長は、ロシアからの天然ガスの供給が止まれば欧州最大のドイツ経済が「急激な景気後退」に陥るだろうと述べた。
ウクライナの首都キーウ(キエフ)近郊のブチャでのロシア軍による残虐行為が明るみに出て以来、欧州連合(EU)はロシアに対する経済制裁を強化し、ウクライナ侵攻以来初めてロシアの膨大なエネルギー輸出を制裁対象とすることになった。
EU首脳は、ロシアの石炭輸入を段階的に停止することに合意し、石炭は8月までに輸入禁止となる。第6弾の制裁措置がすでに検討されており、一部のEU当局者はロシアの石油と天然ガスの輸出に対して行動を起こすよう求めている。
しかし、20年に天然ガスの約46%をロシアに依存していたドイツにとって、短期間でのロシアの天然ガス輸入禁止は大打撃となる。
ロシアの天然ガスを停止すれば、先月40年以上ぶりの高水準に達したドイツのインフレを悪化させる可能性が高い。連邦統計局のデータによると、消費者物価は前年比7.3%上昇した。主な原因は天然ガスと石油の価格高騰で、40%近くも上昇した。