ガス輸送管の通過料で対立、運用に赤信号 ウクライナとロシア
(CNN) ウクライナ国内を通るロシア産天然ガスのパイプライン通過料の支払いをめぐり同国国営の天然ガス会社「ガスプロム」とパイプラインを管理するウクライナの国営企業「ナフトガス」の間で摩擦が深刻化していることが10月1日までにわかった。
ロシアから欧州市場向けに今なお流れている数少ないガス輸送管の一つの運用維持に赤信号がともる問題ともなっている。
両社の対立を受け、欧州内のガスの卸値は先月28日に上昇する事態ともなった。
ガスプロムは声明で、ナフトガス側の法的な請求内容の全てを否定し、提供されるサービスは本来のものと異なるとして代価の支払いに見合うものではないと指摘。パイプライン通過の関連業務の遂行を拒否したとも主張した。
ロシアに科される制裁が原因で両社間の全ての係争はスイス・チューリヒで解決を図るとの2019年の合意が履行できず、ガスプロムは公平な審議に臨む基本的な権利を剥奪(はくだつ)されたともした。
その上でナフトガス側の主張は同社が悪しき振る舞いを継続するなかでの非友好的な措置と断じ、結果的にロシア政府がナフトガスに制裁を科す可能性につながったと述べた。「実際問題としてガスプロム側が制裁の対象の組織への責務を果たすことを禁じられることを意味するだろう」ともつけ加えた。
一方、ナフトガスのビトレンコ最高経営責任者(CEO)はSNS上で、ガスプロムの声明は法的な統治やロシアのウクライナ侵攻の行為を無視する新たな事例と反発。
ガス輸送の入り口がある場所がロシア軍に支配されているため通過業務に関する不可抗力での障害を訴え、コストの追加負担なしに別の入り口の提供を申し出たとも説明。契約で記されている通常の権利の行使であり、「非友好的な行為ではない」と反論した。