米生活雑貨大手ベッド・バス、破産法申請 「カテゴリーキラー」の象徴
2009年には1000店舗目をオープンし、年間売上高が78億ドルを超えた。これまでの慣習を打ち破り、広告費をほとんどかけず、新聞経由で届ける印刷されたクーポンが成長を担った。
ただ、消費者行動の変化への対応で後手に回り、アマゾンや格安小売り大手ターゲットなどに奪われた顧客を取り戻すのに悪戦苦闘した。
共同創業者の一人で既に同社を離れているウォレン・アイゼンバーグ氏は最近、米紙ウォールストリート・ジャーナルのインタビューで「インターネットの波に乗り遅れた」と述べた。ただ、同社が沈んだ要因はそれだけでなく、ウォルマートやターゲットといった小売り大手の実店舗がより安い価格と幅広い品ぞろえで同社の顧客を奪った状況もあった。
価格や品ぞろえで差別化ができないまま、ベッド・バスの売り上げは12~19年に不振に陥った。20年には新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で全店舗の一時閉鎖にも見舞われ、同年17%、翌年15%と売り上げが減少した。
この数年で経営陣や経営戦略が変わったのも大きかった。ディスカウント大手ターゲットの幹部だったマーク・トリットン氏は、投資家の後押しを受けて19年からかじ取りを担い、割引券を縮減し、商品を有名ブランドから自社ブランドに切り替える新戦略を打ち出した。だが、これは有名ブランド好きの顧客を失う結果を生み、業者への支払い遅滞や商品の品不足にも陥った。トリットン氏は22年に最高経営責任者(CEO)を退任した。
今年2月にはプライベート・エクイティー(PE、未公開株)ファンドの協力を得て、直近の資金繰りと将来の債務支払いの資金確保を目的とする複雑な株式発行を実施、破産を回避した。だが、翌月にはPEファンドとの取引が終了、公開市場で資金調達をする方針を示していた。利益の出ている一部店舗を除く400店の閉鎖方針も示し、一時解雇した従業員に対する手当の支払い停止でも資金をつなごうとしていた。
ベッド・バスの破産申請時の負債は52億ドル、資産は44億ドル。