10月の米雇用統計、就業者15万人増 予想下回るも堅調な伸び
ミネアポリス(CNN) 米労働省労働統計局が3日発表した10月の雇用統計によると、非農業部門の就業者数の伸びは15万人だった。予想は下回ったものの、依然として堅調な雇用の伸びを示した。
9月の雇用増は予想を上回る力強さだったが、下方修正されて計29万7000人増に落ち着いた。10月はこれを下回る結果となった。
米ロヨラ・メリーマウント大学のスン・ウォンソン教授(金融・経済学)は「9月の過熱を経て、10月はエアコンのスイッチが入った」との見方を示す。
失業率は3.9%に上昇し、2022年1月以降で最高の水準となった。
金融情報会社リフィニティブによると、エコノミストの間では10月の雇用者数は18万人の純増、失業率は3.8%と横ばいになるとの予想が出ていた。
10月の雇用増は6月以降で最低の水準にとどまったが、そこには一つ注意点がある。10月の総数には製造業の3万5000人減、特に自動車・部品産業の3万3200人減が反映されているのだ。この減少はほぼストライキによるものとみられている。
全米自動車労働組合(UAW)は9月半ば、「ビッグ3」と呼ばれるフォード、ゼネラル・モーターズ(GM)、ステランティスに対してストを決行。10月末に3社とスト終結で暫定合意に達した。
労働市場の底堅さにより個人消費の力強さは維持され、経済も好調さが続いている。ただ、連邦準備制度理事会(FRB)は、インフレ抑制のためにはさらなる減速が望ましいとの姿勢を示す。
英調査会社オックスフォード・エコノミクスの米国担当主席エコノミスト、ナンシー・バンデン・ホーテン氏は3日のメモで、「10月の雇用統計には労働市場の軟化を示す証拠が数多く含まれている。FRBは政策を保留して、インフレ率を2%に戻す施策の進捗(しんちょく)を確認することができるだろう」と指摘した。