12月の米雇用統計、就業者21万6000人増 雇用拡大の1年を締めくくる
ニューヨーク(CNN) 米労働省労働統計局が5日発表した昨年12月の雇用統計によると、非農業部門の就業者数の伸びは21万6000人だった。失業率は3.7%で変わらなかった。
就業者数はエコノミストの予測した16万人増を大幅に上回り、労働市場の強靭(きょうじん)さが際立った昨年1年間を締めくくった。
昨年のこの時期に多くの専門家が確実視していたのは、連邦準備制度理事会(FRB)によるインフレ抑制のための利上げを受けて失業が増え、経済がリセッション(景気後退)入りするという流れだった。
ところが実際の労働市場は、堅調さを維持したまま消費者支出の押し上げに寄与。過去1年間の経済成長につながった。労働市場は落ち着きこそしたものの、FRBの11回に及ぶ利上げにもかかわらず大崩れすることはなかった。相次ぐ利上げを受けて、政策金利は2年足らずの間に5ポイント上昇している。
求人サイトを運営するジップリクルーターのチーフエコノミスト、ジュリア・ポラック氏はCNNの取材に答え、「ここまで、かなり前例のない状況を経験している。金利がこれほど大きく上昇し、インフレ率が急激に落ち込みながら、目立った失業率の増加は起きていない」「こんなことは前代未聞だ」と語った。
FRBは大量解雇なしにインフレを抑制するいわゆるソフトランディング(軟着陸)を達成しつつあるように見えるが、結果はまだ分からない。
5日の報告が示すように、労働市場とより広範な経済は依然として岐路に立っている。最終的な到達地点がどこになるかは、22年ぶりの高水準にある金利の低下にかかっていると、ポラック氏は指摘した。
同氏によれば10月、11月の就業者数の伸びは合わせて7万1000人下方修正されており、基礎となる雇用の増加幅は14万人から15万人前後だという。向こう数カ月間の伸びも緩やかに鈍化し続けるとし、「FRBがブレーキペダルを離すまで」そうした状況は変わらないと分析した。