2年前に地球をかすめた太陽風、直撃なら200兆円の被害も
(CNN) 2年前に観測された史上最大級の太陽風がもしあと1週間早く発生していれば、地球が直撃されて全地球測位システム(GPS)やインターネットなどのシステムが大打撃を被っていた可能性があるという研究結果を、米コロラド大学大気宇宙物理学研究所の研究者が学術誌に発表した。
2012年7月23日に観測された太陽風では、コロナ質量放出という現象によって太陽表面から放出されたプラズマが、地球の軌道上を横切った。
太陽活動によって地球が脅かされたのは今回が初めてではないという。米航空宇宙局(NASA)によれば、1859年に発生した巨大な太陽風では、キューバなどでもオーロラが観測され、電信線から火花が散ったり多数の建物から出火したりする被害が出た。
NASA太陽観測所のデータによれば、2012年7月23日の太陽風にもそれと同程度の威力があったという。
もし地球がこの太陽風に直撃されていれば、現在まで影響が残っていたことも考えられるとコロラド大の研究者は語る。NASA研究者も、停電が何カ月も続いて無線やGPSからトイレに至るまで、地球上の多くの技術が機能停止に陥っていたかもしれないと指摘した。
GPSやインターネット、衛星通信、スマートグリッドなどのIT技術の普及により、地球は太陽風のような現象の危険にさらされやすくなっているという。
全米科学アカデミーは、この規模のコロナ質量放出によって米国が被る損害を2兆ドル(約200兆円)超と試算、米国は国家安全保障上の危機にさらされかねないと予想している。
現在の太陽活動は比較的落ち着いているが、太陽風は予想がつかず、とてつもなく強力な宇宙嵐がいつ発生してもおかしくない状況だという。