シャイなヒーロー、火災現場で人命救助も名乗り出ず 米
炎の中に飛び込んだ時と同じ野球帽姿のアーティアガさんは、始終控えめな様子で取材に応じ、「注目されたくなかった」と話した。
あの日はたまたま車で通りかかって火災を目撃し、男性の叫び声を聞いてトラックから降りた。普段から近所の高齢者の庭の手入れなどを手伝っているアーティアガさんは、自分の家族のことも考えず、燃え盛る民家に飛び込んだという。
「そこへ爆発が起きた。身をかがめると、庭にお年寄りの姿が見えた」。アーティアガさんは歩けないウェルスさんを肩にかつぎ、無事救出した。
しかしウェルスさんを肩から降ろしたところで、携帯電話で撮影されているのに気付き、その場から立ち去ったという。
ニュースで自分の映像や写真が出回っているのは目にしたが、妻には何も話しておらず、知られたくないと思っていたというアーティアガさん。今回の出来事がいずれ忘れ去られて、何事もなく酒造会社の配送の仕事を続けたいと願っていたという。
その理由を尋ねると、アーティアガさんは言った。「私たちは助け合わなければいけないのに、殺し合ったり、争ったりする。自分をヒーローだとは思わない。誰かほかの人だったとしても、同じように助けていた」