月面に「村」構想、資材は現地調達 ESA
ロンドン(CNNMoney) 欧州宇宙機関(ESA)が月面上に「村」を作る構想を進めている。科学やビジネス、観光、採鉱目的での利用を視野に入れているという。
ESAのヨハン・ディートリッヒ・ヴェルナー長官は最近公開された動画で、月に恒久的な基地を作るのが宇宙開発の次の段階の論理的なステップだと言及。将来的にはこの村が国際宇宙ステーション(ISS)に取って代わる可能性があるとも語った。ISSは当初、2020年に退役する予定だったが、24年まで運用を延長することが決まっている。
ESAは月面上に村を建設する技術が確立するのに20年はかかると見ている。
ヴェルナー長官は、村の建設には月の天然資源を利用し、地球から持って行く必要はないとも指摘。建物の資材などはロボットや月面探査車を使って3D印刷技術で製造できるとしている。
月面上に人間が定住するのはリスクも伴う。宇宙線や微小隕石の危険があるほか、気温も123度から零下153度まで激しく変動する。
だがヴェルナー長官は、月面上の正しい位置を選ぶことでこうしたリスクを最小限に抑えることができると主張。「月面上で影になっている部分に行けば、宇宙線を避けられる場所がある。常に暗闇に覆われている南極では水も見つかる」と話す。
1967年に調印された宇宙条約では、いかなる国も月の領有権を主張できないと定めている。ESAは月面村を国際的なものとし、宇宙開発を推進する各国の力を合わせたい考えだ。