夜空を覆う「光害」、世界人口の3分の1は天の川見えず
(CNN) 人工的な光に遮られて夜空の星が見えにくくなる「光害」と呼ばれる現象のため、天の川を観測できない人口は米国で80%、欧州で60%を占め、世界全体でも3分の1に上る――。国際研究チームがこのほどそんな研究結果をまとめた。
研究チームは世界を覆う光害の分布を示す世界地図を作成し、10日の科学誌に発表した。
世界の所々にまだ暗いままの夜空が残っているものの、光害の影響は世界人口の83%、米国と欧州では99%超に及んでいる。
光害が最も大きい国とされたシンガポールでは、「全人口があまりに明るい空の下で暮らしているので、目が完全には暗闇に適応できない」と研究チームは指摘する。
人口の半分以上が光害にさらされている国は、ほかにクウェート(98%)、カタール(97%)、アラブ首長国連邦(93%)、サウジアラビア(83%)、韓国(66%)、イスラエル(61%)、アルゼンチン(58%)、リビア(53%)、トリニダード・トバゴ(50%)が挙がっている。
一方、光害の影響が少ないアフリカのチャド、中央アフリカ共和国、マダガスカルの3カ国では、人口の4分の3以上がありのままの夜空を観測できる状態だった。
光害は文化的な影響を及ぼし、世界中で生態学的問題や人の健康問題を生じさせ、エネルギー浪費につながりかねないと研究チームは指摘。「これは多大な文化的損失であり、未来の世代に予測不可能な影響を及ぼす」と警鐘を鳴らしている。