NASA探査機打ち上げ、地球脅かす小惑星の試料採取へ
21年3月にはベンヌを離れて23年9月24日に地球に帰還させる計画だが、地球に戻っても着陸はせず、ユタ州上空で試料を搭載したカプセルを投下する。カプセルは大気圏を抜けた後、パラシュートを使って着地させる。
小惑星ベンヌは直径492メートル。次は2135年に地球に接近して月の軌道内を通過する。この接近でベンヌの軌道が変わり、2175年~2199年の間に地球に影響を及ぼす可能性も指摘されている。その確率はおよそ2500分の1。それでもNASAは、地球を脅かしかねない存在としてできる限り警戒を強める方針だ。
ただしオシリス・レックスを使ってベンヌを吹き飛ばしたり、ほかの小惑星から地球を救ったりするわけではない。そうしたプロジェクトのためには複数の国や省庁が連携する必要があるとNASAの専門家リンドリー・ジョンソン氏は解説する。
小惑星から地球を守るプロジェクを立ち上げるため、米国をはじめ複数の国や省庁間の調整を行う部署も新設されたという。同プロジェクトは直径100メートル以上の小惑星を対象とする(それより小さい小惑星については避難指示にとどまるらしい)。
危険な小惑星に対する対策を講じるためには何年も前からその存在を把握する必要もある。「(地球に接近する)物体の進路をそらす宇宙ミッションを成功させるためには、少なくとも5~10年の準備期間を要するだろう」とジョンソン氏は言う。
ちなみにNASAによれば、地球周辺にあるベンヌほどの大きさの小惑星でも、把握できているのは約51%にすぎない。