深宇宙探査、物理学の限界を超えて<1> 人類はどこまで行けるのか
地球の大気圏や磁場は、太陽からの強い放射線からわれわれを守っている。宇宙の厳しい環境から守ってくれる同様の防御がなければ、遥かかなたの場所に行くことはできない。少なくとも生きたまま行くことは不可能だろう。
比較的近い火星に行く場合でも、宇宙飛行士は大きな危険にさらされる。米航空宇宙局(NASA)によると、火星探索を行う宇宙飛行士は、地球上の平均年間被ばく量の約100倍の放射線を浴びることになるという。
探査機を完全に保護するためには厚さ数メートルの被覆材で覆う必要があるが、それでは機体が重くなりすぎて実現不可能だ。そこで実現可能な解決策として、探査機を水や宇宙飛行士たち自身の排泄(はいせつ)物で満たすという奇策も提案されている。