海馬での脳細胞の形成、13歳で止まる? 米研究
(CNN) 脳の海馬における新たな細胞の形成は13歳で止まる――。米カリフォルニア大学などの研究チームが7日、そんな論文を英科学誌ネイチャーに発表した。海馬は脳の奥深くに位置する器官で、学習や記憶において主要な役割を果たす。
科学者はこれまで、人間の海馬は成人期を通じて新たな脳細胞やニューロンを生成するとの見方を示していた。成人期に作られるニューロンの数について共通した見解はない。一部の研究者は、数百のニューロンが毎日追加されるとみているが、小児期以降に生み出されるニューロンはごく少数だとの主張もある。
ニューロンは前駆細胞により形成される。新生ニューロンは、新たなつながりの形成に優れていることなど、成長したニューロンとは異なる特徴を持つため重要だ。
研究チームは今回、死亡後もしくは手術後に海馬から採取した59の組織サンプルを対象に、前駆細胞や若いニューロンを探した。脳組織のサンプルは初期の胎児のものから成人のものまで幅がある。
妊娠14週間が経過した胎児のサンプルでは、前駆細胞や未成熟なニューロンが海馬内の発達途上の領域に大量に移動していく様子が見て取れた。この領域は歯状回と呼ばれ、記憶の形成に重要な役割を果たすことで知られる。
さらなる胎児のサンプルを調査したところ、細胞の移動は妊娠22週間までに減少することが判明。1歳までには未成熟なニューロンが胎児期に比べ少なくなっていた。年を重ねたサンプルではさらに若いニューロンが少なくなり、わずかなりとも未成熟なニューロンを含む脳組織の年齢は13歳が最高であることが分かった。
論文の共著者は今回の研究の意味合いについて、ニューロン新生の過程が脳の若返りに寄与するとの見方も一部にはあるが、これが事実かどうかは誰にも分からなくなったと説明している。