主要35地域の動植物、気候変動で半数が絶滅の危機 WWF
(CNN) 世界の気温上昇がこのまま続いた場合、地球上の生物多様性に富んだ地域に生息する動植物のうち、約半数の種が絶滅の危機にさらされるとの研究結果が新たに報告された。
国際NGOの世界自然保護基金(WWF)が英イーストアングリア大学、豪ジェームズクック大学と共同で報告書をまとめた。
報告書はアマゾンの熱帯雨林やガラパゴス諸島、オーストラリア南西部、マダガスカルなど、世界でも生物多様性に富んだ35の地域に着目。そこに生息する動植物のうち約8万種近くは絶滅する恐れがあるとして、温暖化対策の必要性を訴えている。
WWFの専門家は「高い気温や長引く干ばつ、大型の暴風雨が常態化して、世界中の生物に影響を及ぼし始めている」と指摘する。
産業革命前からの気温上昇が4.5度に達すると、アフリカゾウは飲み水を失い、インド・スンダルバンス国立公園のトラの繁殖地は96%が水没する恐れがある。
一方、2015年に温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」が目標に定めた2度の上昇にとどめることができれば、絶滅種の割合も25%に抑えられるという。
WWFは報告書の中で、「特定の場所に生息する特定の種が消えるというだけの問題ではない。何億人もの人々の命を支える自然生態系全体に深刻な変化が起きるかどうかの問題だ」と強調している。