クジラ漁の血で海が一面赤に、保護活動家から批判 フェロー諸島
(CNN) 英スコットランドの北方沖にあるデンマーク領フェロー諸島で、クジラの追い込み漁で海が赤く染まる様子が写真に捉えられ、保護活動家などから非難の声が上がっている。これに対しフェロー諸島自治政府は17日、CNNに声明を寄せ、捕鯨は「島の生活の一部」と反論した。
写真には、数十頭のクジラが入り江に追い込まれて殺され、その血で海が赤く染まる様子が写っている。
フェロー政府によると、この漁は西部ボーアル島にある入り江で先月30日に行われたもので、対象となったのはゴンドウクジラだという。同諸島では毎夏、複数回にわたり合法的な漁が行われている。写真を撮ったのは英ケンブリッジ大学の卒業記念に島を訪れていたという男性だった。
英国に拠点を置く海洋保護団体「ブループラネット・ソサエティー」は今回の漁を批判し、フェロー諸島は21世紀に追いつく必要がある「古代の国」と形容。「これらの人々には尊敬の念も思いやりも必要性もない」とし、「これは楽しむためのものだった」と述べた。
クジラ漁に参加する人々/Alastair Ward/Triangle News
一方、フェロー諸島自治政府は17日、CNNに寄せた声明で、捕鯨は「フェロー諸島の生活の自然な一部」だとし、今回の漁に儀式的な側面や軽薄な点があったとする批判を退けた。
声明ではまた、「ゴンドウクジラの肉や脂肪は今も昔と変わらずフェロー諸島の食事の大切な一部だ」と説明。「捕獲したクジラは漁の参加者や地域住民の間で金銭を介さずに共有されている」とした上で、こうした肉がなければ外部から調達するほかないと述べた。
フェロー諸島の法令では、クジラは可能なかぎり早く苦しみを伴わない形で殺すよう定めている。漁を行う者は捕鯨に関する研修を修了し、免許を取得しなければならない。
入り江はクジラの血で赤く染まった
フェロー諸島はデンマークに属しているが自治領で、デンマークや欧州連合(EU)の法律には拘束されない。漁は数世紀にわたり行われてきたもので、フェロー政府や海洋哺乳類関連などの国際団体が厳しく規制している。
ゴンドウクジラは絶滅が危惧されている種ではない。全世界には100万頭がいると推測され、そのうち10万頭がフェロー諸島周辺に暮らしている。