米国人の肛門がん、患者も死者も15年間で激増
(CNN) 米国で肛門がんの症例が激増し、死者も急増していることが、テキサス大学などの研究チームが実施した調査で20日までに分かった。この傾向は特に、高齢者と若い黒人男性で顕著だという。
テキサス大学公衆衛生校の研究チームは約15年にわたる肛門がんの傾向について調査した。その結果、症例数はおよそ6万9000例、死者は1万2000人に上っていた。
「肛門がんはまれな症例だという認識があり、対策がおろそかになりがちだった」と研究者は指摘する。
最も一般的な肛門がんの症例数は、2001~15年にかけて毎年2.7%増え、肛門がんの死亡率は2001~16年にかけて年に3.1%増加していた。
この調査結果は米国立がん研究所の学術誌に発表された。
肛門がんは消化管の末端部にできるがんで、結腸がんや直腸がんとは異なり、子宮頸(けい)がんに最も近い。
肛門がんの中で最も一般的な扁平上皮がんは、ヒトパピローマウイルス(HPV)によって引き起こされる。米疾病対策センター(CDC)によると、肛門がんの症例のうち90%以上はHPVに関係している。
研究チームでは、1950年以来、性行為の変化や性的関係をもつパートナー数の増加など、肛門がんのリスク要因が大きく変化したことによって、HPV感染の確率が増えたことが肛門がんの急増につながったと推定。さらに、HIVの発生と関係している可能性も指摘した。
50歳以上の高齢者で肛門がんの症例が激増しているのは、HPVワクチンの対象範囲が極めて狭かったことに起因する可能性がある。HPVワクチンは2006年に初めて導入された時点で、対象が9~26歳の年齢層に限られていた。
一方、若い黒人男性の肛門がん激増については、この層のHIV感染率の高さとの関係を指摘している。