地球に最も近い惑星系で新たな惑星の徴候、スーパーアースか
(CNN) 地球から4.2光年しか離れていない恒星「プロキシマ・ケンタウリ」を周回する惑星について、研究者らがこのほど、2016年に見つかった「プロキシマb」に次ぐ2つ目の惑星が存在する兆候をとらえた。巨大な地球型惑星を意味する「スーパーアース」に分類される可能性があるという。
プロキシマ・ケンタウリは、南天のケンタウルス座にあるケンタウルス座アルファ星という3重連星の1つで、質量の小さい赤色矮星(わいせい)として知られる。上記のプロキシマb以外にも周回する惑星があるとみられていたが、今回、南米チリのアタカマ砂漠にある大型の電波干渉計による観測から、もう1つの惑星「プロキシマc」の存在を示唆する信号が検出された。
研究に関する論文は、15日刊行の科学誌サイエンス・アドバンシズに掲載されている。
プロキシマcはスーパーアースである公算が大きい。その質量は地球を上回るものの天王星や海王星よりは小さいという。恒星に対する公転周期は地球の日数に換算して5.2年と推計される。
一方のプロキシマbは地球の1.3倍の大きさで公転周期は同11.2日。プロキシマcと比較すると大きさは6分の1で、恒星からの距離は30分の1に相当する。両惑星とも恒星との距離は太陽と水星の距離よりも近いが、恒星の温度が太陽をはるかに下回るため、プロキシマbは液体の水が存在し得る「ハビタブル(居住可能な)」惑星となっている。ただその表面には恒星からの強力な放射線が降り注いでいるとみられ、生命の存在に必要な水素や酸素、窒素といった物質が失われている可能性がある。
研究者らはプロキシマcについて、存在が確認できればスーパーアースの形成に関する従来の学説を覆す発見との見方を示す。これまでスーパーアースは、恒星から十分に遠く、水が凍る「スノーライン」と呼ばれる境界を超えては形成されないと考えられてきた。
しかし信号が示すプロキシマcの距離はスノーラインを大きく超えている。論文著者のマリオ・ダマッソ氏は、「恒星の周囲で惑星が形成される領域の温度が、定説よりはるかに高かった可能性をうかがわせる」と指摘。そうした状況でプロキシマcが存在できたとすれば、その形成と進化の過程は研究テーマとして重要であり、さらに探求する価値があると語った。