南極を襲った異常な熱波、最北端の島はわずか9日で20%の雪解け
(CNN) 南極大陸の北端が今月に入り、9日間続く熱波に覆われた。この影響で、北東部のイーグル島では島を覆っていた雪の20%が溶けていたことが米航空宇宙局(NASA)の観測で判明。気候変動の影響が広がりつつある現状を見せつけた。
NASAは今月、南極大陸を覆った熱波の始まった時と終わった時のイーグル島の画像を撮影した。9日間の熱波が終わるまでには、雪が解けて地表が現れ、雪解けの水たまりができていた。
南極大陸の北端を襲った熱波の影響で、イーグル島を覆っていた雪の20%が溶けた/NASA
南極の最高気温は今月に入り、観測史上最も高い18.2度を観測した。この日、米カリフォルニア州ロサンゼルスで観測した気温と同じだった。
イーグル島ではわずか1週間あまりで約10センチの雪が解けた。これは同島でこの冬に積もった雪の総量の約20%に当たる。
世界一寒いはずの南極で、これほどの速さで雪が解けるのは極めて異例。夏季でさえも稀(まれ)だった。
専門家によると、今回の熱波は気温の高い日が続いたことによるもので、こうした現象は21世紀に入るまで、ほぼ発生したことはなかった。
NASAによると、今月に入り、南米チリのホーン岬上空が高気圧に覆われて気温が高くなった。南極大陸北端の半島は、例年であれば南半球を横断する強風に阻まれて、そうした暖気からは守られる。ところが今年は異常に風が弱く、南極大陸北端への暖気の流入が止まらなかった。
南極大陸を覆う氷は、人が排出する温暖化ガスの影響で、既に急速に解け始めている。海面が上昇すれば、世界の沿岸部に住む何百万人もの人に壊滅的な影響が及びかねないと世界気象機関は警鐘を鳴らしている。