人が消えたビーチでウミガメ繁殖、野生生物再生の「希望の光」
(CNN) 新型コロナウイルス対策のため世界中で人が活動を停止する中で、野生生物の活動が活発化している。タイや米国などではウミガメの繁殖が増えている様子が報告された。
タイのビーチには世界でも有数のウミガメの営巣地がある。現地の保護団体が20日、CNNの電話取材で明らかにしたところによると、プーケット島で見つかったウミガメの巣は11カ所に上り、この20年で最も多かった。プーケット島はタイで最も人気の高いリゾート地だが、主要観光アトラクションは新型コロナウイルス対策のために閉鎖されている。
「これは長期的にも海洋保護の環境に好影響を与えるかもしれない」と保護団体は指摘する。政府の調査によると、ウミガメだけでなく、この海域に生息するイルカやジュゴンなどの海洋生物、さらにはヤドカリなどそうした海洋生物の餌になる生物も個体数が増えているという。
保護団体はこれについて、タイで3月から実施された都市封鎖などの対策によって人が活動しなくなった影響で、海洋生物が再生する時間が生まれ、環境に長期的な効果をもたらすと予想している。
米ジョンズ・ホプキンス大学によると、タイで確認された新型コロナウイルスの症例は20日現在で2792例、死者は47人。
タイの団体によると、新型コロナ対策の封鎖措置によって海洋生物の再生が進んでいるという/Mongkhonsawat Leungvorapan/Reuters
米フロリダ州の研究者も、ウミガメが繁殖する傾向が見られると指摘した。ビーチのプラスチックの量が減り、人や車も減って、ウミガメの赤ちゃんが人工照明で方向を見失うことも少なくなったようだと保護団体は伝えている。
「今年はウミガメの営巣に対して人が及ぼす影響が減る可能性が大きい。これは世界的なパンデミックの中で希少な希望の光かもしれない」と関係者は話している。