デンキウナギが集団で狩り、「大発見」と研究者
(CNN) ブラジルのアマゾン川流域の湖で、デンキウナギが集団で狩りを行っている様子が見つかり、研究者は「大発見」と驚いている。
米スミソニアン自然史博物館の発表によると、ブラジル北部パラー州のイリリ川に面する小さな湖で、通常は単独行動をするデンキウナギが100匹以上いるのを研究者が発見。さらに協力して狩りを行う様子も観察したという。
デンキウナギは共同で小さなテトラを浅瀬の狭い場所へと追いやり、最大10匹ほどの狩りをする個体がメインの集団から分裂。テトラを攻撃して気絶させるという。
研究チームを率いる同博物館の魚類研究助手、デービッド・デサンタナ氏は「デンキウナギの生態でこのようなものは記録に残っていない」と述べた。
現地の湖で観察できるデンキウナギ。860ボルトの電気を生み出すことが可能だという/Leandro Sousa
同氏はCNNに対し、多くの捕食対象の魚がいる環境では単独での狩りは効率が悪く、「集団行動をすることで(狩りの)成功率が上がる」と説明。集団での狩りは哺乳類では普通に見られるものの魚類では非常に珍しく、他に9種類の魚しか知られていないという。
デンキウナギの一種、エレクトロフォラス・ボルタイは全長8フィート(約240センチ)にまで成長し、地球上の動物で最も強い860ボルトもの電気を生み出す。電撃が続く時間は約1000分の2秒で、人間でもショックを受けるほどの筋肉のけいれんを引き起こす。
通常、デンキウナギは夜間に休んでいる魚を気絶させることで、簡単に捕食しようとする。だが、一定の環境では集団での狩りが奏功する。
魚類が集団での狩りを行う例は極めて珍しい/Douglas Bastos
デサンタナ氏は、当初は「多くの獲物がいて、大人のウナギがたくさん住める場所だけで発生する比較的珍しい事象」と思っていたものの、アマゾン川流域でこうした特徴を持つ場所はたくさんありそうだと判明。2018年にスリナムへの旅の途中でもデンキウナギの小さな集団を見かけたことがあるという。
森林伐採でアマゾンの奥地にもアクセスが容易になり、「この種の行動を見たり、現地の人から話を聞いたりする機会が増えそうだ」とデサンタナ氏は語る。
この発見は14日に学術誌エコロジー・アンド・エボリューションに掲載された。