増えすぎた「麻薬王のカバ」、ダーツで避妊薬投与 コロンビア
コロンビア・ボゴタ(CNN) 南米コロンビアで「麻薬王」と呼ばれた男が残したカバの繁殖問題に、ついに解決策が見つかったのかもしれない。
麻薬取引で悪名をはせた故パブロ・エスコバルは1980年代、私設動物園にカバ4頭を輸入した。そのカバが今や80頭に増えて野生化し、環境への影響や人に危害を加える可能性が懸念される状態になっている。今年1月にはカバたちを駆除すべきだと訴える論文が学術誌に発表された。
地元自治体はカバの去勢を試みたが、巨大なカバに対する従来のような去勢・避妊手術は危険が大きく、これまでに手術ができたのは11頭のみだった。
しかし15日、地元の環境保護団体コルナレは、頭数コントロールの新しい方法として、避妊薬の「ゴナコン」を仕込んだダーツを24頭のカバに投与したと発表した。
コルナレによると、ゴナコンを使う方法は手術よりもはるかに安く済む。ただし「馬のような大型動物と比較した調査に基づき、専門家は3回の投与を勧告していることから、難しさに変わりはない」と説明する。同じ医薬品は米国の馬やオーストラリアのカンガルー、香港の野牛といった野生動物で実験を行ったという。
ゴナコンの効果についてはカバの排泄(はいせつ)物のホルモンの値を測定して追跡調査する必要がある。
エスコバルが輸入したカバはオス1頭とメス3頭のみだった。エスコバルの死後、ほかの動物たちは別の場所に移されたが、カバは捕獲や輸送が困難だったことからそのまま残され、マグダレナ川流域で繁殖した。
調査の結果、カバの排泄物が水中の酸素濃度を悪化させ、魚や人間に影響が及ぶ可能性があることが判明。農業が脅かされたり人が襲われたりする可能性も危惧され、2020年5月には45歳の男性がカバに襲われて重傷を負っていた。