深刻な宇宙ごみ問題、ロシアの対衛星ミサイル実験が追い打ち
空のごみ捨て場
夜空に見えることはないが、地球の周回軌道上には数億個のごみが存在する。これらごみは古い衛星の一部や機能停止した衛星全体、ロケット本体からなる。
米航空宇宙局(NASA)による1月の報告書によると、地球を周回する宇宙ごみのうち、少なくとも2万6000個はソフトボール以上のサイズがある。これは人工衛星を損壊させるのに十分な大きさだ。また、ビー玉程度の大きさで宇宙船を破損させうる断片が50万個以上、塩の粒ほどの大きさで宇宙服に穴を空ける可能性のある断片が1億個超ある。
こうした断片同士が衝突することで、より小さな宇宙ごみが一段と増える可能性もある。
宇宙追跡サービスのレオラブスによると、ロシアのミサイル実験で生じた宇宙ごみは高度440~520キロの範囲に広がっている。
この高度あたりの宇宙ごみは「気がかりだが、多くの意味で恩恵でもある」とルイス氏は語る。同氏の説明では、こうした宇宙ごみは基本的に「降り注ぎ」、地球の大気圏に再突入する際に「燃え尽きる」という。
ただ、ロシアの最近のミサイル実験により、人工衛星による「障害物の衝突回避行動は大幅に増える」。そう指摘するのはESAに所属する宇宙ごみの専門家、ティム・フロフラー氏だ。
フロフラー氏はまた、通信や気象予報、全地球測位システム(GPS)のような人工衛星に依存するサービスの重要性にも言及した。
人々が日々の生活で宇宙ごみの影響を直接感じることはないかもしれないが、社会が「地上の膨大なサービスのインフラとして宇宙に依存する」例は増えているという。
「もし宇宙ごみの量が今後どんどん増えていけば、人類全員による宇宙の将来の利用が脅かされる」(フロフラー氏)