注文したのに買えなかった高校時代のスタジャン、28年後に兄が古着屋で発見
(CNN) ジェッド・モトリーさんは28年前、米アリゾナ州スコッツデールのシャパラル高校でフットボールクラブに所属し、代表チームでプレーしていた。スタジアムジャンパーほど、自分がプレーするスポーツや高校への究極の誇りを感じさせるものはなかったが、モトリーさんはジャンパーを持っていなかった。
モトリーさんはその年、ジャンパーを買おうと店に行き、注文に必要なものを全て選んだ。モトリーさんは「ジャンパーは自分でデザインしないといけなかった。だが完成品を見ることはなかった」と話す。
ジャンパーを受け取る時になって、母親から「お金がない」と言われたのだ。
モトリーさんは「母は本当に素晴らしい人で、できる限りのことをしてくれた。クリスマスツリーの下に借用書があったこともあった。クリスマスに借用書をもらったことがない人には、その気持ちはわからないと思う。私たちは確かに大変ではあったが、母はいつも何とかやりくりした。とても愛情深い人だった」と語った。
モトリーさんの兄ジョシュさんは11月3日、高校から約290キロ離れたパイントップの古着屋に弟のスタジアムジャンパーが25ドル(約2800円)でつるされているのを偶然発見した。モトリーさんの推定では、ジャンパーは当時300ドルしたので、当時の価格とは雲泥の差があった。
正しい値段
モトリーさんは「母は私が知っている人の中で最も信心深い人の一人で、いつも『あの世からサインを送る』と言っていた。母は2012年に亡くなったが、これまでにサインが送られたことはなかった」と振り返る。
ジョシュさんは、ミュージシャンとして全米を回った後、数年前にパイントップに引っ越した。ジョシュさんはCNN系列局のKNXVに、地元の古着屋の店内を歩いていたら、真っ赤なジャンパーを見つけたと語った。
ジャンパーには、左ポケットの下に「Jed」、右ポケットの下に「94」、右腕にフットボールと「WR」の文字と数字の「1」のワッペンが縫い付けられていた。また、ジャンパーの左上には大きな「C」の文字の中に「シャパラル」と書かれたワッペンがあった。
モトリーさんは兄と電話越しにこの瞬間の感動を分かち合った。「28年後の今、この価格は文句無しだ」(モトリーさん)
兄と同じくモトリーさんもミュージシャンで、現在はロサンゼルスに住んでいる。モトリーさんはジョシュさんからジャンパーを直接受け取るためだけにアリゾナ州に飛び、兄弟は数年ぶりに再会を果たした。
ジャンパーの状態から判断して「誰も着ていないと思う」とモトリーさん。ポケットには「検品済み」のタグが残っていた。