NASAの宇宙望遠鏡、観測地点に到達 地球から約160万キロ
(CNN) 米航空宇宙局(NASA)のジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が24日、打ち上げから約1カ月を経て最終目的地に到達した。
ウェッブ宇宙望遠鏡は昨年12月25日に仏領ギアナから打ち上げられ、テニスコート大のサンシールド(日よけ)と、巨大な金の主鏡を展開した。新たな方法で宇宙研究や太陽系外惑星の大気観測を行う。
観測場所は地球から100万マイル(約160万キロ)近く離れた地点。24日に最後の燃焼を行い、「L2」と呼ばれる軌道に入った。
NASAのビル・ネルソン長官は「ウェッブがL2に無事到着した。我々は宇宙の謎の解明に1歩近づいた。この夏、ウェッブ初の新たな宇宙観測が待ちきれない」との談話を発表した。
NASAのリードエンジニア、カレン・リコン氏は、ウェッブ望遠鏡の打ち上げに使ったロケット「アリアン5」について、「照準が非常に正確だったことから、最初の燃焼は当初の予定よりも小さくて済み、延長ミッションのために残せる燃料が増えた」と説明している。
これまでのハッブル宇宙望遠鏡が地球を周回していたのに対し、ウェッブ宇宙望遠鏡は太陽を周回する。
地球と並んで惑星として太陽を周回することで、太陽や地球、月が放出する熱から望遠鏡を守る。同望遠鏡は赤外線で宇宙を観測し、遠く離れた宇宙の天体のかすかな兆候をとらえることから、低温に保つことが欠かせない。赤外線は熱として検知されるため、望遠鏡全体を明るい熱源から守る必要がある。
望遠鏡を運用するためには氷点下223度の超低温を保つ必要があり、5層のサンシールドで巨大な主鏡や計器を太陽光から守っている。