希少な大型のクモ、豪クイーンズランド州で見つかる
(CNN) 新たな大型の種類のクモが、豪クイーンズランド州で生息しているのが見つかった。研究者らは保護の必要があると指摘している。
希少で色鮮やか、タランチュラにも似たこのクモは、トタテグモの一種でEuoplos属に含まれる。今月15日にクモ学の学会誌で発表された論文によると、この種のクモは2017年以降、広範な研究の対象となってきた。
今回「Euoplos dignita」と命名された当該のクモは、20世紀初めに州内のモントやアイズボールドといった町の近くで最初に見つかっていたが、その後研究が行われず、無名種のままとなっていた。論文著者であり、クイーンズランド博物館でクモ学の主席学芸員を務めるマイケル・リックス氏が電子メールで明らかにした。
長年、同博物館収蔵のEuoplos dignitaの標本はごくわずかしかなく、1つを除き全て1970年代以前に収集されたものだった。雄の標本が1体もないことも、リックス氏らのチームが研究を進める上で大きな障害となっていた。
雄の標本を見つけることは当該の種をトタテグモの仲間と特定するために重要だと、米デンバー自然科学博物館の脊椎(せきつい)動物担当上級学芸員で、米国クモ学会の事務局も務めるポーラ・カッシング氏は指摘する。同氏は当該の論文に関与していない。
最終的に研究者らは、2021年5月に行った3日間の調査を通じ、前出の地域で雄のクモを発見。1990年代以降で初めて当該の種の収集に成功した。
博物館の他の標本と比較した上で、研究チームは新たに発見したクモをEuoplos dignitaと名付けた。 dignitaは「威厳、偉大さ」を意味するラテン語の単語にちなむ。種に特有の大きさと美しさを念頭に置いたと、リックス氏は説明する。
Euoplos dignitaの雌は体長約5センチまで成長する。論文によれば、この種のクモとしては「非常に大きい」。またカッシング氏はトタテグモの寿命にも言及。数十年生きるものもいるとし、最も長生きした例は43年だと述べた。
研究者らは、これらの希少種について保護が必要なことも突き止めた。主要な生息場所とされる道路脇は農業目的などで人の手が入り、極めて破壊された状態にあるという。
リックス氏は、詳細な調査が完了するまで生存している個体の数も分からないとしつつ、野生の生息範囲は狭く、しかも非常に分散していると付け加えた。