欧州にもヒアリ上陸、初めて巣を発見 イタリア・シチリア島
(CNN) 世界最悪級の侵略的外来種とされるヒアリの巣が、欧州で初めて見つかった。スペインの研究チームが11日の科学誌カレント・バイオロジーに発表した。
ヒアリは南米の原産だが、過去100年の間に米国やメキシコ、カリブ海諸国、中国、オーストラリアなどに広がっている。
ヒアリは攻撃性が強く、刺されると強い痛みを伴ってアレルギー反応を引き起こすことがある。作物や生態系に被害が及ぶ恐れもある。
研究チームによると、イタリア・シチリア島のシラクサ付近で、5ヘクタールの範囲にヒアリの巣が88カ所確認された。
論文の筆頭筆者でスペイン進化生物学研究所のマッティア・メンケッティ氏は、「イタリアでこの種が発見されたのは大きな驚きだった。だがいつかこの日が来ることは分かっていた」とコメントしている。
発見されたヒアリの巣/Institut de Biologia Evolutiva
ヒアリはこれまでにもスペイン、フィンランド、オランダで輸入品の中から見つかったことがある。しかしコロニーが確認されたのは今回が初めてだった。
コロニーはシラクサの郊外で発見された。ヒアリがどうやってこの場所にたどり着いたのかは不明だが、港のような人間の活動が多い場所には到達していたと思われる。地元住民は2019年以来、アリに刺される被害が増えたと証言しており、羽のある女王アリが風に乗って商業港のあるシラクサ北西部から運ばれてきたと研究チームは推測する。
遺伝子解析の結果、このヒアリは米国または中国から来た可能性が大きいことが分かった。ヒアリは近いうちに欧州全土に拡散する恐れがあると研究チームは警告。バルセロナ、ローマ、ロンドン、パリといった都市部も含め、欧州大陸の7%はヒアリの繁殖に適した環境にあると指摘している。