アルコール摂取は高齢者に有害か、少量でもがん死亡リスクが10%増 新研究
(CNN) 米国の若者の間でアルコールは健康に悪影響を与えるとの認識が広がるなか、ある調査では55歳以上の間で飲酒をする人の割合が10パーセントポイント増加していることがわかった。そして今回発表された新たな研究では、飲酒は適量であっても高齢者の健康に良い影響を与えないと考えられることが明らかになった。
1日に1杯か2杯のアルコール、特にワインは健康に良いというかつて広く信じられていた考えに反論する研究が増えている中、この研究はその一群に加わるものだ。むしろ最近の研究ではアルコールは強力な発がん性物質である可能性があり、うつ病のほか、肝臓や腎臓の問題など多くの病気を引き起こす可能性があることが明らかになっている。
ビクトリア大学内の研究所で責任者を務めるティモシー・ナイミ氏はアルコールは発がん性物質で約50種類の死因となっており、全般的にみて健康に有害だと話す。同氏はこの研究には関わっていない。ナイミ氏によると、アルコール摂取は少ないほど良いという。
学術誌「JAMAネットワークオープン」に12日に掲載されたこの研究もおおむね同じ結論に達している。この研究では60歳以上の成人13万5000人以上の健康状態が調べられた。2006~10年にかけて行われた最初の調査では、参加者にアルコール摂取に関する詳細な質問を行い、参加者を低、中、高リスクの飲酒者に分類した。
低リスク飲酒者のアルコール摂取量は、女性は1日最大10グラム、男性は1日最大20グラム。中リスクは、女性が同10〜20グラム、男性が同20〜40グラム。高リスクは女性が同20グラム以上、男性が同40グラム以上と定義された。
この研究では、すべてのレベルでリスクがあることが判明した。たまにしか飲酒をしない人と比較したときに、低リスクの人はがんで死亡する可能性が約10%高かった。中リスクの人はあらゆる原因やがんで死亡するリスクが約10~15%高かった。高リスクの人はがん、心臓病、その他の要因で死亡する確率が約33%高かった。
一方で主にワインを飲む、または食事中に飲むと答えた人は、たまにしか飲まない人に比べてがんや死亡のリスクがわずかに低かった。
論文著者のロザリオ・オルトラ氏は「この有益な効果を引き起こしているのはワイン自体や食事中に飲むこと自体ではなく、私たちが制御できない他の要因である可能性があると考えている」と話す。
たとえば、ワインを飲む人や食事のときにしか飲まない人は、生活の他の面でも節度を保っている可能性や、身体を動かすといった他の健康的な行動をとる可能性が高いことが考えられる。
研究者らは、このような例外はワインに含まれる抗酸化物質や食事のときの飲酒の間隔などアルコール以外の利点を示している可能性があると結論付けている。これらの違いを理解するにはさらなる研究が必要だ。