オニダルマオコゼの顔面に隠した「飛び出しナイフ」発見 米研究
(CNN) 猛毒をもつ魚類、オコゼの1種の「オニダルマオコゼ」は、見るからに恐ろしいトゲだらけの姿をしているだけでなく、顔面に「飛び出しナイフ」まで隠し持っていた――。米カンザス大学の研究チームがそんな観察結果を発表した。
研究チームは、この刃物状の突起がオニダルマオコゼの目の下の骨の部分にあることから、「涙サーベル」と命名した。頬の筋肉を使って繰り出す仕組みだが、毒は仕込まれていないという。
カンザス大学のウィリアム・スミス氏は、ペットとして飼っていたオニダルマオコゼを解剖した15年前から、涙サーベルの仕組みについて研究を進めていた。
今回の発見は、オニダルマオコゼの分類にもかかわると同氏は指摘する。涙サーベルを繰り出す仕組みは、筋肉、骨格、神経などの組織が全てかかわって形成されていることが判明。「これほどたくさんの恐ろしいものが、なぜ1種類の魚に蓄積されているのか」とスミス氏は問いかける。
涙サーベルは天敵を寄せ付けないためだけではなく、ヒツジの角のように仲間同士の争いに使ったり、求愛行動に使ったりする可能性もあるという。
ちなみにサーベルの色は緑の蛍光色。オニダルマオコゼは身を守ったり獲物を取ったりする目的で、岩に擬態して姿を隠す。このため蛍光色に身を守る目的があるとは思えないとスミス氏は推測している。
オニダルマオコゼは134種が確認されている。スミス氏の観察によれば、その全種が涙サーベルを隠し持っているという。