激減するゾウを密猟から救え、タンザニアが大規模プロジェクト
(CNN) 東アフリカ・タンザニア南部にあるセルー動物保護区。スイスの国土よりも広大な保護区の中で、野生のゾウを密猟から守る仕事は簡単ではない。
同保護区に生息するゾウは、40年前の11万頭から1万5200頭へと激減し、ほぼ90%の個体が失われた。「この10年の間にアフリカ大陸を襲った密猟危機で、タンザニアは特に大きな打撃を受けた」。野生生物保護団体、世界自然保護基金(WWF)の担当者はそう話す。
こうした状況を打開しようと、タンザニア政府はWWFの支援を受け、ゾウ保護のための新プロジェクトに乗り出した。政府とWWFが連携して、同国としては過去最大の規模で、ゾウに個体識別のための標識を取り付ける。
1年がかりで60頭前後のゾウに標識を取り付けて、レンジャーによる保護態勢を強化、個体数の増加を目指す。衛星と通信できる標識を付けることで、レンジャーがゾウの居場所を突き止め、危険にさらされている場合はその場で対応できるようにする。
ゾウの密猟の主な目的は象牙にある。セルー動物保護区は状況の深刻化を受けて2014年、ユネスコの危機遺産に指定された。
ゾウに麻酔を打って標識を取り付ける作業にかかる時間は約30分。この間にゾウの健康状態に関するデータも収集する。
「ゾウはタンザニア南部の経済の重要な原動力。観光業において膨大な潜在性がある」とWWFの担当者は話している。