新作映画の公開延期、主演女優が脅迫の標的に インド
ニューデリー(CNN) インド映画界の大物監督が手掛けた新作映画が「歴史を歪曲(わいきょく)している」としてヒンドゥー教の保守強硬派から強い反発を招き、主演女優が激しい脅迫の標的となったため、来月1日に予定されていた公開が延期されることになった。女優に対しては、鼻を切り落とすなどと公言するものが出たほか、首を切ったものには160万ドル(約1億8000万円)の賞金を出すと発言するものまで出た。
インドの製作会社、バイアコム18が「公開を自主的に延期する」と発表した。
問題の映画は、史実を題材にした「パドマーバティー」。ヒンドゥー王朝の王妃の名がタイトルになっている。王妃はイスラム王朝の軍に攻め込まれ、敵の君主から身を守るために焼身自殺したと伝えられている。
この作品の中に王妃とイスラム君主の恋愛を描いた夢の場面が出てくるとのうわさが流れ、王妃役の人気女優、ディピカー・パードゥコーンさんが執ような脅迫を受けていた。
今年1月にはヒンドゥー系の右翼団体が撮影現場に押し寄せて、監督やスタッフに襲い掛かる騒ぎがあった。団体はその後も映画館を襲ったり、各地で抗議行動を展開したりしてきた。
サンジャイ・リーラー・バンサーリー監督は「王妃の勇気と献身を称える作品だ」と語り、うわさされるような夢の場面はないと強調している。