きっかけは「売れ残りTシャツ」 現代アーティストの北川純氏

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裸体像にTシャツを着せたのが公共空間を使ったアート作品の始まりだった=同氏提供

裸体像にTシャツを着せたのが公共空間を使ったアート作品の始まりだった=同氏提供

20代のころ、勤めていた建設会社を辞めてアーティストの道を選んだ。風景画家の父を持つ同氏にとって、ごく現実的な選択だった。彫刻家のアシスタントになり、テクニックや金属、粘土の扱い方を習ったという。

細い体で、猫のようにすばしこく動き回る。公園の像に服を着せた後で逃げ帰るのには適していたかもしれないが、最近は当局の許可を取ってから着せるようにしている。許可が下りると、今でも逆にびっくりするという。

ゲリラ・アートの精神にのっとり、公共の場に置いた作品は7~10日で撤去する。「通りかかる人々に、何かが起きているということを知らせたいだけ」「日常の中の何かを変えたい」と話す。

祭りやイベント、ショッピングセンターの飾り付けも手掛ける。巨大ジッパーは六本木トンネル内に東京都の落書き防止事業の一環として壁画を描いたほか、都内のホテル「椿山荘」の庭園や住宅展示場にも出展した。「ジッパーの作品では、この世界で私たちが見ているのは表面にすぎないこと、その向こうには全く違うもうひとつの空間が隠れていることを示した」という。

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