人材も資産も国外へ――中国からの流出が止まらないわけは
香港(CNN) 中国で人材の国外流出が止まらない。北京に本拠を置くシンクタンク「中国グローバル化研究センター」(CCG)の調べによると、2013年、海外で暮らしていた中国人は850万人で、多くは中流階級だ。一方、中国に移り住んできたのは、わずか84万8000人にとどまる。
共産党機関紙「人民日報」はこの状況を「世界最悪の頭脳流出」と伝えた。
中国人が大挙して海外移住する例は過去にもあったが、今回は資産と人材が流出するという意味で、かつてない現象だ。何がこの国外脱出を促しているのだろうか。また、こうした流れに抵抗するため、中国政府は有効の対策を取れているのだろうか。
財産の保全
海外移住を加速させている要因としてまず挙げられるのは、富裕層の資産防衛だ。
この背景には、習近平(シーチンピン)国家主席が汚職対策を精力的に進めた結果、コネのある富裕層も当局の摘発から逃れ切れなくなっている現状がある。不正な収入を得た幹部が妻や子、資産を海外に移す「裸官」も、こうした富裕層に含まれる。
移住者の数は年々増えており、中国の富豪番付として有名な「胡潤百富榜」によると、富裕層の64%がすでに移住に取り掛かっているか、来年の移住実現に向けて計画を練っているという。