バチカン博物館でラファエロの絵画2点を発見
(CNN) バチカン市国にあるバチカン博物館でこのほど、部屋の清掃・修復作業中にルネサンス期の巨匠ラファエロの手になる2点の絵画が見つかった。バチカンでの500年に及ぶ謎を解き明かす発見となっている。
専門家はこれらの絵画について、ラファエロが1520年に37歳前後で早世する前に残した最後の作品とみている。
ラファエロは1519年ごろ「正義」と「友情」を表す2人の女性を描いていたが、部屋の残りの部分の装飾を完成させる前に死亡した。死亡後は、他の芸術家が内壁の装飾を仕上げ、ラファエロの手になる絵画2点は忘れ去られた。
ラファエロがローマ法王ユリウス2世から一連の私室に装飾画を描くよう依頼を受けたのは1508年。今日「ラファエロの間」として知られる3部屋の装飾を完成させた後、4部屋目の「コンスタンティヌスの間」に向けた計画を練り始めた。従来のフレスコ技術ではなく、油彩で部屋に描くという計画だった。
1550年に出版されたジョルジョ・ヴァザーリの「芸術家列伝」によれば、ラファエロは油彩の新たな実験として2人の人物を描く作業を開始したとされている。今回発見につながる鍵となったのはこの手がかりだ。
修復作業員らが今年コンスタンティヌスの間の壁の清掃を始めたところ、部屋の残りの部分がフレスコ技術を使って描かれている一方で、2人の女性については油彩で描かれていることに気付いた。
紫外線写真や赤外線写真により、これら2つの絵画は部屋の残りの部分とは異なり、油絵で描かれたことが鮮明に浮かび上がってきた。このほか特有の筆遣いや色彩なども踏まえると、専門家の目には明らかにラファエロの作品と映った。
バチカン博物館の館長によれば、ラファエロの作品や部屋全体の修復には早くとも2022年までかかる見通し。