コレクションの半分以上が贋作、美術館の調査で判明 仏南部
(CNN) フランス南部の村にある地元出身の画家の作品を集めた美術館で、収蔵する絵画140点中82点が贋作(がんさく)であったことがこのほど明らかになった。
新たな事実が発覚したのはエルヌという村にあるテルス美術館。1857年にこの村で生まれ1922年に没した画家エティエンヌ・テルスの業績をたたえる目的で1994年に開館した。
エルヌの首長が仏テレビ局に語ったところによると、最近80枚ほどの絵画を購入した際、同館で働いていた美術史家が収蔵品の真贋について疑義を呈した。テルスの作品とされる絵画に当時はまだ建設されていなかった建物が描かれていたり、インクで書かれた画家の署名が手袋をはめた手で簡単に拭き取れてしまったりしたという。
首長が専門家チームを立ち上げて調査したところ、収蔵品の半分以上が贋作であることが判明した。テルス美術館は大規模な改修を終え、先月27日に再オープンしたばかり。これらの贋作を含む新たなコレクションも一般公開されていた。
エルヌの当局は、誰が贋作を作成したかを突き止めるべく、調査に乗り出している。
パリで本格的に絵画を学んだテルスは、アンリ・マティスやアンドレ・ドランといった著名な画家とも親交があったことで知られる。水彩画や油彩画における初期の作風は、明るい色彩と画家の想像力を通じた表現を重視する印象派的なアプローチに特徴があるフォーヴィスム(野獣主義)に分類される。