世界最大の淡水真珠、「眠れる獅子」が競売へ オランダ
(CNN) 淡水で形成されるものでは世界最大といわれる真珠が、来週にも競売にかけられることが25日までに分かった。その独特の形状から「眠れる獅子」の異名をとるこの真珠は、300年近い歴史の中で様々な所有者の手を渡り歩いてきたことでも知られる。
四肢動物が座り込んだ姿を思わせる形状の「眠れる獅子」は、横の長さが約7センチ。重さは120グラム近くに達する。今月31日にオランダのハーグでオークションにかけられる予定で、最大で54万ユーロ(約6900万円)の予想落札価格がついている。
オークションの運営会社によると「眠れる獅子」の起源は清朝時代の中国で、1700年から1760年の間に形成されたと考えられる。中国で発見された後、オランダ商人がバタビア(現在のジャカルタ)へ持ち込み、その後欧州へ運ばれた。当時の清の乾隆帝は大ぶりの真珠を国外へ持ち出すことを禁じていたが、こうした規制を破った形だ。
オランダ東インド会社の裕福な商人だった最初の所有者が死亡したのを受け、「眠れる獅子」は1778年に最初のオークションにかけられた。落札者はロシアの女帝エカチェリーナ2世の代理人で、「眠れる獅子」は同国のサンクトペテルブルクへ移った。
その後の記録では19世紀半ばのポーランドで、イタリア王国国王ヴィットリオ・エマヌエーレ2世に仕えた宝石商が買い取ったことが分かっている。さらに欧州の複数の宝石商により所有され、1979年には現在の所有者であるアムステルダム真珠振興会が購入した。
過去240年近い年月の中で「眠れる獅子」が競売にかけられたのはわずかに2度。前出のオークション運営会社の責任者は、今回の競売について「今後200年あまりオークションにかからない可能性もある。オランダ国民にとっては自然の驚異を目の当たりにする最後のチャンスだ」と語った。