サラー、エジプト代表引退か チェチェンでの「政治利用」に不満
(CNN) サッカーのエジプト代表でエースFWとして活躍しているモハメド・サラー選手が代表からの引退を検討していることが25日までに分かった。チームがロシアでのワールドカップ(W杯)のキャンプ地としているチェチェン共和国で「政治利用」されたことに不満を感じているためだという。同選手に近い情報筋が明らかにした。
サラー選手をめぐっては、チェチェン共和国のカディロフ首長と一緒に歩いている写真が話題になっていた。
カディロフ首長は2004年以降、チェチェンの指導者として、独立を求める動きの鎮圧を進めている。
カディロフ首長は先ごろ、サラー選手をチェチェンの名誉市民とすると発表した。同首長はソーシャルメディアへの投稿で「モハメド・サラー選手はチェチェン共和国の名誉市民となった」と宣言。エジプト代表を招いた祝いのディナーの席で、サラー選手に対して、指示書のコピーやバッジを贈ったと語った。
地元メディアは、カディロフ首長が演説をしているなか、サラー選手が笑顔を見せている動画を公開した。サラー選手のシャツにはチェチェンの旗が描かれたバッジがつけられていた。
情報筋によれば、サラー選手はチェチェンで起きたことで、さらし者になったような気持ちになったという。サラー選手はサッカー以外の話題で取り上げられることや、誰かの政治的イメージに使われることを望んでいないという。
エジプトのサッカー協会はCNNの取材に対し、サラー選手が代表引退を検討しているとされることに驚いていると述べた。サラー選手からそうした考えについても聞かされていないという。
サラー選手はイングランド1部リバプールで活躍し、チームが欧州最強のクラブを決めるチャンピオンズリーグ(CL)の決勝へと進出する原動力となった。W杯ロシア大会では、けがの影響で初戦には出場しなかったものの、第2戦には先発出場し得点も決めていた。