「内気な私はもうおしまい」 大坂選手が自宅から語る
(CNN) 新型コロナウイルス感染拡大の影響でスポーツ試合の中止が相次ぐなか、女子テニスの大坂なおみ選手(22)が米ロサンゼルスの自宅キッチンでCNNとのインタビューに応じ、自身の内気な性格などについて率直に語った。
テニスの4大大会(グランドスラム)で2連覇を果たしたスター選手も、ロックダウン(都市封鎖)中は自分自身の内面と向き合う日々を送っているようだ。
いつも眠りに就く前にはたくさんの後悔が頭をよぎると、大坂選手は言う。そのほとんどが、思っていることを口に出さなかった後悔だという。
インタビューの前夜に投稿した一連のツイートでも、内面の葛藤(かっとう)を明かしていた。そこには「内気な私はもうおしまい。まさに時間の無駄だ」「本来なら今ごろはたくさんのアイデアを共有して、さまざまな人たちと会話していたはず。学んでいたはずのことも多いのに、私はこんなところで、なんと自分自身にかせをかけている」と書かれていた。
意見を口に出せないために、目の前の物事が自分の望むほうへ進まないことも多い。自分の意見を主張していれば展開は違ったのに、と思うことがあるという。
数年前は現在よりもさらに内気な性格で、今回のようなインタビューも受けられなかっただろうと話す/DAVID GRAY/AFP/AFP via Getty Images
今でも繰り返し思い出すのは、テニスとは無関係の場面。昨年のオフシーズンを過ごしたカリブ海の島で、大坂選手が大ファンを自認する大物アーティスト夫妻、ジェイ・Zさんとビヨンセさんに会った時のことだ。
ジェイ・Zさんに話しかけられたが、極度の緊張でひと言ずつしか答えることができなかった。ジェイ・Zさんに内気な性格なのかと聞かれ、そうだと答えると、会話はそこで急停止してしまった。
スターにあこがれるところは普通の人々と同じだが、違うのは大坂選手がたぶん将来、またその2人と顔を合わせるだろうということ。その時に何を言いたいかは分かっている。会ったチャンスを逃さずに、感謝の言葉を伝えたいという。
大坂選手が大ファンだというジェイ・Zさん(左)とビヨンセさん/Mike Coppola/Getty Images
2人の歌を聴けば元気が出る。やる気を出すためにビヨンセさんのパフォーマンス映像ばかり見ていた時期もある。ジェイ・Zさんの古めの歌はとてもかっこいいので、今もよく聴いている。
大坂選手の内気な性格は選手生活を始めたばかりのころ、今よりもっとひどかったという。ロッカールームに行くだけで緊張した。「何をしたらいいのか、持ち物をどこに置くのかも分からなかった」と振り返る。
こうしてインタビューに応じるのは2年ほど前の時点でも難しく、一度に単語2つくらいしか言えなかっただろう。でも今は完全な文の形で話すことができる、と笑う。
テニスコートも使えず、練習相手もいない状況が続くのは「少しだけ不安」だが、ほかの選手もきっと同じ思いをしているはずだと、大坂選手は言う。
「テニスのやり方を忘れてしまうわけではない」と話し、「この時期に1日5時間のトレーニングはしたくない」と主張。それは燃え尽きてしまうパターンだし、トーナメントがいつ再開するかは全く分からないと指摘した。
そのうえで、この機会に新しいことを学び、自分を向上させたいと話し、「こんなにたくさんの自由時間が得られる機会は二度とないに違いない」と強調した。