東京五輪 新型コロナ懸念でボランティア辞退も
東京(CNN) 東京五輪・パラリンピックがボランティアを呼び掛けたとき、ニマ・エズナシャーリさんは日本の数千人の希望者とともに申し込みを行い、世界最大級のスポーツイベントの雰囲気を味わおうと思った。
しかし、大会が近づくにつれて、新型コロナウイルス感染症に感染するリスクが心配になってきた。エズナシャーリさんは日本の大部分の人々と同じように新型コロナウイルスのワクチンを接種しておらず、7月23日の開幕前にワクチンを接種できるのかどうかもわかっていない。
兵庫県で語学教師を務めるエズナシャーリさんは「五輪は大好きだ。しかし、新型コロナウイルスに感染したくはない」と語る。
日本は新型コロナウイルスの「第4波」と闘っている。新型コロナウイルスは5月のときほど感染は拡大していないものの、毎日2000人規模の新規感染件数が報告されている。五輪開催まで数週間となったが、少なくとも1度ワクチンの接種を受けた人口の割合は10%に満たない。
新型コロナウイルスのワクチン接種をめぐり、調整を担う河野太郎行政改革相は、毎日80万回の接種が行われており、6月末には1日当たりの接種回数が100万回に達するとの見通しを示した。しかし、このペースで行っても、日本で五輪開幕までにワクチン接種を終えた人の割合は20%に満たない。
大会組織委員会は審判やスタッフ、ドーピングの検査員、一部のボランティアなど1万8000人にワクチンを接種する計画だ。しかし、7万人規模のボランティア全員にワクチンがいきわたることは難しいそうだ。何人のボランティアがワクチンを接種できるのかもわかっていない。
五輪のボランティアには8万人が申し込んだが、少なくとも1万人がボランティアを辞退した。辞退した理由の大部分は新型コロナウイルス。
ボランティアによれば、新型コロナウイルスに対する保護はほとんど与えられていない。受け取ったのはマスクと手指消毒剤、他者と2メートルの距離を確保するよう指導するパンフレットだけだ。五輪のウェブサイトはボランティアに対して、自宅から会場まで公共交通機関を利用するよう呼び掛けている。
医師らからは、これほど多くのワクチン未接種の人々が選手村を出入りすることに対するリスクを警告する声があがっている。五輪によって既にひっ迫している医療制度が破たんするかもしれないとの懸念も出ている。
大会組織委員会は約1万人のボランティアの辞退も、新型コロナウイルスの感染抑止に向けた規制で海外からの観客の受け入れを禁止するなどしたため、大会運営に影響を及ぼさないとみている。
大学生のハタケヤマ・ジュンさんは五輪のボランティアに申し込んだとき、国の誇りに満ちて、自分の国に世界最高のアスリートを迎えることができて興奮した。
しかし、ハタケヤマさんによれば、次々と問題を目にして、熱意はだんだんと不安と幻滅に変わった。五輪は運営費用が急増したほか、森喜朗前会長による性差別的な発言があり、今では、新型コロナウイルスの感染件数が急増しているにもかかわらず、大会組織委員会は大会開催へ突き進んでいる。
ハタケヤマさんは意見を表明するためにボランティアを辞退した。