IOC委員、彭帥さんとのビデオ通話めぐる反応に「困惑」
(CNN) 国際オリンピック委員会(IOC)の古参委員ディック・パウンド氏は26日までに、CNNのインタビューに応じ、中国テニス選手の彭帥(ポンショワイ)さんとバッハIOC会長のビデオ通話への反応に「困惑」していると述べた。
IOCとのビデオ通話に先立ち、彭さんは2日付のSNSへの投稿で、張高麗(チャンカオリー)前副首相から同氏宅で性的関係を強要されたと告発。その後、公の場から一時姿を消し、複数のテニス選手がSNS上で「#彭帥はどこ」のハッシュタグを使って心配の声を上げていた。
IOCは通話の動画を一般入手できるようにはしておらず、通話が行われた経緯も説明していない。代わりにこの時の画像を公開し、彭さんは「北京の自宅で安全かつ元気に暮らしているが、今はプライバシーを尊重してほしいと希望している」との声明を発表した。
これについて国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)のソフィー・リチャードソン中国担当部長は今週、IOCが彭さんの再登場をめぐり中国当局と協力したと非難。女子プロテニス協会(WTA)トップのスティーブ・サイモン氏は、IOCの介入は彭さんの安全に関する懸念を和らげるには不十分だとの見方を示した。
批判の声に対し、パウンド氏はCNNのインタビューで「そうした評価には困惑していると言わねばならない」と発言。「世界の多くの人が彭帥さんの身に起きたことを知りたがっている中、誰も接触できていなかった」と指摘した。
「接触できたのはIOCのみだ」とし、バッハ氏や年少の女性IOC委員2人との間で会話が行われたと説明した。動画が公開されていない理由については、プライベートな側面があるためだと推測した。
委員らは彭さんが健康で元気なことを確認したといい、「監禁やそれに類する行為の証拠」は目にしなかったとしている。
パウンド氏自身はビデオ通話の録画を見ておらず、通話に参加したIOC委員3人の「総合的な判断に依拠」した見方に過ぎないとも言い添えた。
パウンド氏はまた、来年2月に冬季五輪を控える中でIOCと中国政府の間に利益相反はないと述べ、「我々に中国政府とのつながりはない」としている。