CNN、クリス・クオモ氏の番組出演を無期限停止 前NY州知事の弟
ニューヨーク(CNN Business) CNNは11月30日、ゴールデンタイムの番組の司会者を務めるクリス・クオモ氏の出演を無期限で停止すると発表した。新たな文書から、セクハラ認定を受けて辞任した兄のアンドリュー・クオモ前ニューヨーク州知事の側近との間で癒着とみられる不適切な性質の関係を結んでいたことが明らかになったため、さらなる評価が下るまで出演を見合わせるとしている。
クリス氏本人はコメントを控えている。同氏の番組の時間帯には、アンダーソン・クーパー氏が司会を務める番組を放送する予定。
クリス氏の担当する午後9時からの番組は、しばしばCNNのその日の最高視聴率を記録してきた。兄のアンドリュー氏によるセクハラへの非難が巻き起こって以降も、クリス氏は番組出演を継続する意向を表明していた。
しかしCNNの広報担当者は、ニューヨーク州司法長官のオフィスが29日に公開した証拠記録から、クリス氏による兄の弁護への関与に新たな光が当たったと説明。クリス氏が実兄のスタッフに助言した事実を認めたため、社の規定に対する違反があったことを公に受け入れたと述べた。
そのうえでクリス氏の置かれた特異な立場を理解するとしながらも、今回の文書は同氏による関与がCNNの想定をはるかに超える水準に達していたことを示すと指摘。結果として、無期限で出演を停止し、さらなる評価を行うとの結論に至ったとした。
今回同州のジェームズ司法長官が公開した証拠には、クリス氏が兄の最側近にあたるメリッサ・デローザ氏と交わしたテキストメッセージなどが含まれる。その内容からは、クリス氏がメディアにおける自らのコネクションを利用して、アンドリュー氏のチームを助けようとしていたことがうかがえる。当時はアンドリュー氏のセクハラを訴える告発者らが、被害を公に主張し始めていた。
クリス氏はまた、セクハラ疑惑を捜査する担当者からの聞き取りの中で、ジャーナリストのローナン・ファロー氏が報じた内容についてより詳しい情報を得ようとしたことも認めた。ただジャーナリストが情報を得るため別のジャーナリストに連絡を取るのは、業界の慣例として全く普通のことだと説明した。
クリス氏は今年初め、CNNの視聴者に対し「肉親に関するCNNの報道に影響を与えたり、抑制しようとしたことは一度もない」と述べていた。CNNも5月に声明を出し、「クリス氏はクオモ知事に対する告発をめぐるCNNの広範な報道には関与していない。番組でも舞台裏でもそうしたことは行われていない」と明言していた。
8月にクオモ知事が辞任すると、クリス氏は視聴者に対し自分はアンドリュー氏の「アドバイザー」ではなく「兄弟」だと説明。同氏の側近と話し合い、自分の「意見」を伝えていたことを認めつつ、5月にCNNから指摘を受けてからはそうした行動をやめていたと述べた。