中国がメディアの取材規制、習主席の香港訪問で
香港(CNN Business) 中国の習近平(シーチンピン)国家主席が香港を訪問する間、ロイター通信やCNNを含む主要な国際メディアの記者は一連の公式式典への取材を規制される。
習氏は30日、英国から中国への返還25年の節目に合わせ香港に到着した。習氏が中国本土外を訪問するのは新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)開始後初となる。
香港記者協会(HKJA)によると、地元や海外の組織に勤務する記者少なくとも10人が「安全上の理由」から一連の行事の取材申請を却下された。同協会は28日、「メディアは現地に記者を派遣できない状況であり、HKJAはこうした大規模イベントに対する当局の厳格な取材体制に最大限の遺憾を表明する」と述べた。
HKJAによると、ロイター通信やAFP通信、香港を拠点とするサウスチャイナ・モーニングポストなどの記者が式典の取材を規制されたという。
CNNは各メディア企業にコメントを求めている。香港政府の報道官は、当局は「可能な限りメディアの仕事の必要性と安全面の要請のバランス」を取っていると述べた。
ロイター通信は記者2人が返還式典と新行政長官就任式の取材を禁じられたと報じた。
CNNの式典参加申請も却下された。香港政府はCNNに警察が申請を却下したと述べたものの、詳しい説明はせず、「個々の組織や人物の審査結果についてはコメントしない方針」としている。
かつての香港はアジアで最もメディアが活発な地域のひとつで、言論の自由や報道の自由を掲げる場所だった。しかしここ数年で、香港は地元の独立した報道機関の大半を失った。
中国政府は2019年の反政府デモ後、香港国家安全維持法(国安法)を導入。これ以降、25年前の返還時に中国が保護を約束した自由の一部がはく奪されているとの批判がある。