香港のディズニープラス、「シンプソンズ」から「強制労働」に言及のエピソードを削除
香港(CNN) 米動画配信サービス「ディズニープラス」が香港で行っている米人気アニメ「ザ・シンプソンズ」の配信をめぐり、中国本土での「強制労働収容所」に関する台詞(せりふ)が登場するエピソードがプラットフォームから削除されたことが7日までに分かった。
最新シーズンの第2回のエピソードでは、マージ・シンプソンが屋内サイクリングバイクを漕いでいる中、スクリーンにインストラクターが現れる。
インストラクターは万里の長城が映るバーチャル背景とともに、「中国の驚異を見よ。ビットコインのマイニング。強制労働収容所では子どもたちがスマートフォンを作っている。それからロマンス」と、口にしている。
CNNは、昨年10月に初めて配信されたこのエピソードがディズニープラスの香港版で視聴できないことを確認した。米国ではディズニーの別のプラットフォームであるフールーで視聴可能だ。
香港で2020年に施行された国家安全維持法(国安法)は、中国政府に対する扇動や分離、転覆を禁止するほか、中国の国家治安機関が香港で活動することを認めている。
エピソードの削除については英紙フィナンシャルタイムズが6日、最初に報じていた。ディズニーはコメントを控えた。
ディズニーは21年11月にも、天安門広場を扱った別のエピソードをザ・シンプソンズから削除している。このエピソードでは北京の同広場を訪れたシンプソンズ一家が「この場所では1989年に何も起こらなかった」という記念碑を目にする。天安門広場では当該の年、民主化を要求して集まったデモ隊に対して激しい弾圧が行われ、多数の死者が出たとされている。
今回の言及は、中国の強制労働への非難が続く中で行われた。とりわけ西部の新疆ウイグル自治区では、ウイグルをはじめとする少数民族最大200万人が強制収容所に収容されていると米国務省が推計している。元収容者らはこうした施設で政治的な洗脳や強制労働、拷問、性的虐待が行われていると訴えている。
中国は新疆での人権侵害を強く否定し、過去にはそうした施設について、域内の「過激主義」に対抗する目的で建てられていると説明していた。