あと30メートルで衝突 米空港で異常接近、操縦士の判断で回避
(CNN) 米国家運輸安全委員会(NTSB)は、米テキサス州の州都オースティンの国際空港で4日、サウスウエスト航空の旅客機とフェデックスの貨物機の異常接近があったことを明らかにした。両機はあと30メートルで衝突する距離まで接近していた。惨事を食い止めたのは管制塔ではなく、操縦士の行動だった。
NTSBのジェニファー・ホメンディ委員長が6日、CNNに語ったところによると、オースティンの空港に着陸しようとしたフェデックスのボーイング767型機と、同空港から出発するサウスウエスト航空のボーイング737型機は、空港の管制塔の指示で同じ滑走路に誘導された。自分たちがサウスウエスト機の上空を飛行していることに気付いたのは、フェデックス機の乗員だった。
フェデックス機の操縦士はサウスウエスト航空の乗員に対し、出発を見合わせるよう指示。米連邦航空局(FAA)によると、その間にフェデックス機は着陸を中断して上昇し、衝突を回避した。
「フェデックス機の乗員とあのパイロットを非常に誇りに思う」「彼らは128人を潜在的大惨事から救った」とホメンディ氏は述べ、「ものすごく近かった。100フィート(約30メートル)に満たなかったと思われる」と指摘した。
管制塔が「18レフト」滑走路からのサウスウエスト機の出発を許可した時点で、フェデックス機は約5.9キロ離れた距離にいた。フェデックス機が18レフト滑走路に着陸することを管制塔が許可した時、同機は約4キロの距離にまで接近していた。
NTSBは2017年、こうした事態を管制塔に告げて衝突を防ぐ装置「ASDE」の採用を勧告していた。
ホメンディ氏によると、ニューヨーク市のJFK空港では先月、この装置のおかげで滑走路上の衝突事故を防止できた。しかしASDEが使われているのは35空港のみで、オースティンの空港には導入されていなかった。
「この状況で管制塔は、レーダー上のフェデックス機を見ることができる。しかしオースティンでは地上のサウスウエスト機がどこにいるのかが見えない」とホメンディ氏は話している。