中国のお年玉、アプリでやり取りがトレンド
香港(CNNMoney) 旧正月といえば中国では「紅包(ホンバオ)」と呼ばれる赤い封筒に入ったお年玉を家族や友人、同僚などに渡すのが習わしだ。だが若い世代では、これをスマートフォンのアプリでやりとりするのが流行っている。
サービスを提供しているのは電子商取引大手アリババと、インターネット大手テンセントだ。
上海に住む27歳の女性は「旧正月になると銀行には長い行列ができるけれど、これならずっと便利。現金を持って旅するのも必ずしも安全ではないし」と語る。
お年玉を送りたいと思ったら、まず必要なのは銀行口座など支払い方法を登録すること。そうすればテンセントの人気メッセージアプリ「微信(ウィーチャット)」や、アリババの決済システムを介して相手に届けることが可能になる。
もらう側も銀行口座を登録しなければ受け取れないから、テンセントやアリババにとっては新規ユーザー獲得の手段でもある。ウィーチャットのモバイル決済の利用者になれば、テンセントのタクシー配車アプリやネットショッピングサービスなども利用できるようになる。
「デジタル紅包」の利用増の背景には、娯楽的要素もあると専門家は指摘する。アリババのサービスには宝くじゲームがついていて、当たれば現金かクーポン券がもらえる。ウィーチャットでは、友人のグループにお年玉を送る場合、アプリがランダムに金額を決める機能を使うことも可能だ。
今後はデジタル紅包が結婚や出産の祝い金にも使われるようになるのではと、調査会社カナリスのニコル・ペン氏は指摘。「都市で職を求め、家族から遠く離れた土地で暮らす中国人は多い。こうした形なら、お祝いのために金を送るのも容易になる」との見方を示した。